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Botticelli

1445年-1510年

ボッティチェッリはイタリアルネッサンス期、フィレンツェを中心に活躍した画家で、その技量からローマのシスティーナ礼拝堂の装飾にも携わり、礼拝堂壁画のうち「モーゼの試練」「反逆者たちの懲罰」「キリストの誘惑」を描いています。「プリマヴェーラ」「ヴィーナスの誕生」など異教的な内容を題材にした作品から、ルネサンスを代表する画家のひとりとして知られていますが、実際にはシスティーナ礼拝堂の装飾からフィレンツェに戻った後、遠近法と人体構造を重視したルネサンスの主流とは異なる、美しい線形と色彩を重視した作品を多く描きました。

Firenze

薔薇園の聖母(1470年頃)

​所蔵:ウフィツィ美術館

ボッティチェッリの描く人物や背景の描写が、ヴェロッキオらの影響を受け、より力強く立体的な造形に変化したころの作品です。聖母の柔和な表情とイエスとの目線との交差に温かみのある感情性が感じられ、筆者の好きな作品の一つです。

​剛毅

​所蔵:ウフィツィ美術館(1470年)

​フィレンツェの裁判所がキリスト教の7つの美徳の擬人像を発注し、その一つ「剛毅」をボッティチェッリが請け負って制作した作品。厳格な顔立ちや力強いプロポーションは像のテーマをはっきりと感じさせ、床や玉座に見られる遠近法の活用もしっかりとしています。

死せるホロフェルネスの発見(左)

​ユディットのベリツアへの帰還(右)

(1469-70年頃)

​所蔵:ウフィツィ美術館

​ボッティチェッリがヴェロッキオの工房にいたころの作品。ベツリアの町を包囲した敵将ホロフェルネスの元に召使と共に乗り込み、彼女の美しさに気を許して寝込んだ隙に首を切り落としたユディットは、当時のフィレンツェに好まれたモチーフの一つです。

​受胎告知(1481年)

​所蔵:ウフィツィ美術館

​ボッティチェッリがシスティーナ礼拝堂の壁画を描くためにローマに行く前の作品。遠近法に基づく背景と人物の描き方はルネサンス様式に則っています。

マニフィカトの聖母(1480-81年)

​所蔵:ウフィツィ美術館

​ボッティチェッリの描いた素晴らしい円形画で筆者がボッティチェリの中で一番好きな作品。マリアの王冠や、人物の髪、衣服の装飾などに多量の金が贅沢に使われています。

​ミネルヴァとケンタウロス(1482年頃)

​所蔵:ウフィツィ美術館

獣人のケンタウロスを知恵の女神ミネルヴァが捕えられている様から、情欲に対する貞節の勝利を表しているとされる作品。ミネルヴァの衣装の絡み合う3つの輪はメディッチ家の紋章から取られています。

​春(プリマヴェーラ)(1482年頃)

​所蔵:ウフィツィ美術館

ボッティチェッリがローマから戻った後に書かれた作品で彼の代表作。意図的に奥行きを無くした背景の前で、愛の女神ヴィーナスの王国に訪れた春と愛を描いています。左の三美神や、右側で花の女神フローラに変身するニンフのクロリスなど多くの人物が描かれ、絵画の意図については複数の説があります。

​ヴィーナスの誕生(1485年頃)

​所蔵:ウフィツィ美術館

​海の泡から生まれたヴィーナスが、波に揺れる貝の上に立っている彼の代表作。ヴィーナスのポーズは古代のローマ彫刻「恥じらいのヴィーナス」を踏襲しています。プリマヴェーラが地上のヴィーナスを表しているのに対し、こちらは天上のヴィーナスを表しているとされています。

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柘榴の聖母(1485年)

​所蔵:ウフィツィ美術館

​マニフィカトの聖母に比べて聖母子や天使達の顔からしっかりとした感情が感じられず、無機質なマネキン人形のような印象を受けます。

聖母子と4人の天使と6人の聖者(1487年頃)

​所蔵:ウフィツィ美術館

聖母戴冠と4聖人(1490年頃)

​所蔵:ウフィツィ美術館

ドメニコ会修道士サヴォナローラの説教の強い影響を受け、ルネサンス絵画の成果に背を向け宗教的メッセージを前面に出した作品。​登場人物の内面な表現が特徴的で、ボッティチェッリ後期の代表作の一つです。

​受胎告知(1489-90年)

​所蔵:ウフィツィ美術館

抑制された感情表現が主流だった当時のフィレンツェ絵画とは対照的に、天使からの告知に対して聖母が戸惑いと拒否ともとれるポーズを取っている点が特徴的な1480年代の代表作の一つ。この絵の中心は天使とマリアの手で、お互いを引き立たせる関係性となっています。

アペレスの誹謗(1495年頃)

​所蔵:ウフィツィ美術館

世俗的な物語をテーマにしたボッティチェッリ最後の作品で、古代の有名な画家アペレスの絵を、詩人キアノスが著作で描写しているものを元に再現したもの。

右手に座る王の左右で「無知」と「疑惑」の擬人像が流言を囁き、王は「憎悪」に手を差し伸べています。松明をもつのが「誹謗」でその後ろには「欺瞞」と「陰謀」が女主人に仕えています。少し距離を置いて黒装束の「悔恨」が左端で天上を指さす「真実」を見つめています。

​聖アウグスティヌス(1480年頃)

​所蔵:オンニサンティ教会

オンニサンティ教会の壁面にギルダンライオの「聖ヒエロニムス」と向かい合って飾られている作品です。ギルダンライオに比べ、人物の彫像性や感情表現により秀でています。

​Milano

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書物の聖母(1480-81年頃)

​所蔵:ポルディ・ペッツォーリ美術館

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