Donatello
1386年-1466年
フィレンツェのドゥオーモのクーポラを設計した建築家ブルネレスキや、ブランカッチ礼拝堂壁画を描いた画家マザッチョと共に初期ルネサンスの三大芸術家の一人に数えられる彫刻家。長寿でミケランジェロやティッツィアーノと同様に深い精神性が感じられる晩年様式に到達し、西洋美術史全体を見渡しても偉大な芸術家として位置づけられます。
Firenze

預言者ハバクク
所蔵:ドゥオーモ付属博物館
「ズッコーネ(かぼちゃ頭)」の愛称で呼ばれる彫像で、預言者としての強い意志が感じられるリアリズム溢れる作品で筆者の好きな作品の一つ。
ドナテッロ自身もお気に入りだったと言われ、彼が像に向かって「話せったら、バカ野郎!」と叫び蹴りつけたという逸話があります。


悔悟するマグダラのマリア
所蔵:ドゥオーモ付属博物館
美しい女性として描かれることもあるマグダラのマリアですが、この彫像では一切の理想化を拒絶した苛烈なリアリズムに満ち、苦行で伸び放題の長い髪は膝まで覆い、頬がこけてやせ細り歯も欠けた顔からはかつての美しさは微塵も感じられません。にもかかわらず、その眼差しや祈りの手からは深い宗教的精神性が伝わってきます。


ダヴィデ像
所蔵:パルジェッロ国立博物館
1408年~09年頃のドナテッロ初期の作品。まだブルネレスキの影響を受ける前の作品で、首の長さなど各部位のプロポーションや身体のバランス表現は解剖学的に十分といえず、ゴリアテを倒した後にもかかわらずその表情からは意思や感情を感じることができません。

ダヴィデ像
所蔵:パルジェッロ国立博物館
メディッチ家のコジモの依頼で制作された1440~50年代頃の作品。以前に制作したダヴィデ像とは全く異なる妖しい艶めかしさで見る者の目を引き付けます。この作品でドナテッロは古代彫刻を超えたと絶賛されました。


洗礼者ヨハネ
所蔵:パルジェッロ国立博物館
「悔悟するマグダラのマリア」と同時期に制作されたドナテッロ晩年の作品。マグダラのマリア同様、毛皮のみを身に纏い、苦行の為に目がくぼみ頬がこけながらもその表情は恍惚としています。


聖マルコ像
所蔵:オルサンミケーレ教会
初期のダヴィデ像の数年後に制作された作品。全体のプロポーション、各部位のバランス、威厳に満ちた表情や堂々と立つ姿にブルネレスキからの影響が見られ、古代彫刻を超えた魅力が感じられます。
