Rennaisnce Art

イタリア・ルネサンスの美術史

ルネサンス期の絵画や彫刻はそれ単体を見るだけでは中々その魅力を理解することは難しいのではないでしょうか。ルネサンス期の芸術は中世の宗教芸術からより現実に即した表現への進歩の歴史でもあり、ルネサンス美術史上の画家の位置づけや表現の特徴、題材の聖書の物語などに関する知識を持って鑑賞することで、より深く知的にその絵画を理解することができます。

ルネサンス以前(~12世紀)

4世紀にキリスト教がローマ帝国の国教に制定されて以降、美術は布教目的のメディアとなり、イエスや聖人の神性を強調するために現実性が排除され、平面的で形式化された図像と様式が13世紀まで続いてきました。

プロトルネサンス(13世紀~14世紀)

13世紀に登場し「西洋絵画の父」と呼ばれるジョットは、絵画を写実的な表現に導く革新的な役割を果たしました。彼の絵画は人物の彫像性や人間性、論理的で現実的な空間が表現された画期的なものでした。
ジョットの影響を受けた画家たちは、彼の現実的な表現を継承したピエトロ・ロレンツェッティアンブロージョ・ロレンツェッティ兄弟らと、理想化された優美性をより重視した国際ゴシック派のシモーネ・マルティーニらにと別れていきます。
■その他の画家

初期ルネサンス(15世紀前半)

14世紀後半のペスト流行により沈滞したイタリア美術は、1401年に行われたフィレンツェのサンジョヴァンニ洗礼堂の扉装飾コンクールによって転機を迎えます。このコンクールでは形態の優美性を重視したギベルティと、ドラマの迫真性を追求したブルネレスキの作品が激突し、最終的にギベルティが契約を獲得します。
しかしその後ブルネレスキの概念は彫刻家ドナテッロ、画家マザッチョによって引き継がれ、イタリア美術の主流となっていくのです。
絵画の分野の革新者となったマザッチョは、初めてジョットを超える写実的な表現を行い、彫像的な人物、科学的遠近法を駆使した空間表現で、それまでの絵画にない現実性、迫真性を創出し、初期ルネサンス時代を切り開きます。

■その他の画家

盛期ルネサンス(15世紀後半~16世紀初頭)

人体解剖に基づくリアルな人物表現や、遠近法を取り入れた論理的な背景表現を特徴とする盛期ルネサンスは、三大巨匠と呼ばれるレオナルドミケランジェロラファエロによって頂点を迎えます。
ピラミッド図法やスマフート技法を駆使し、人間の心の動きを表現する事を目指した「万能人」レオナルド、彫刻、絵画、建築と多方面に圧倒的な技量を示した「神のごとき」ミケランジェロ、両者の技法を取り入れ独自に昇華させた「聖母の画家」ラファエロの後、美術の発展の中心は北イタリアに移って行きます。
■その他の画家

後期ルネサンスからバロックへ(16世紀中盤~)

風光明媚な地のヴェネチアの画家たちは、油絵技法を取り入れ、風景や色彩をより重視した表現が発達していましたが、1518年に完成したティツィアーノの「聖母被昇天」は色彩と人物、構図を雄大に調和させヴェネチア美術に革新をもたらしました。宗教画、神話画、肖像画と多彩な領域で傑作を描いた彼を筆頭に、ティントレットもまた劇的な表現を駆使し、聖書の物語の迫真性を追及しました。
そして、ミラノに生まれ、ローマで成功した光と影の画家カラヴァッジョによって聖書の物語を迫真的に描くというルネサンスの目標は成就し、次の絢爛たるバロック時代へと繋がって行きます。
■その他の画家

※上記2点は今回参考にさせていただいた松浦先生の著作です。イタリア・ルネサンスを系統的に学ぶのに役立つ大変お勧めの書籍です。

イタリア・ルネサンス美術館

著者:松浦 弘明

出版社: 東京堂出版 (2011/11/21)

ルネサンス絵画の発展を、一つの絵画を他の絵画と比較することで体系的に理解できるよう工夫された良書で、ぜひ一読することをお勧めします。

イタリア・ルネサンス美術史

著者:松浦 弘明

出版社: 河出書房新社 (2015/3/27)

​「イタリア・ルネサンス美術館」でルネサンスの全体像を掴んだ後に読むとより一層よい。厚くはないので、ガイドブックとして旅行時に携帯することをお勧めします。

イタリア・ルネサンス美術大図鑑 (1) 1400年~1500年

スティーヴン・J・キャンベル (著),‎ マイケル・W・コール (著),‎ 池上 公平 (翻訳),‎ 金山 弘昌 (翻訳)

柊風舎 (2014/12/15)

​分厚くて高価な書籍ですが、イタリア・ルネサンス美術を豊富なカラー図版と共に多角的に検証しており、とても参考になります。

イタリア・ルネサンス美術大図鑑 (2) 1500年~1600年

スティーヴン・J・キャンベル (著),‎ マイケル・W・コール (著),‎ 池上 公平 (翻訳),‎ 金山 弘昌 (翻訳)

柊風舎 (2014/12/15)

​分厚くて高価な書籍ですが、イタリア・ルネサンス美術を豊富なカラー図版と共に多角的に検証しており、とても参考になります。

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イタリアの中でもヴェネツィアが大好きです。イタリアには素晴らしいものが沢山ありますが、特にルネッサンス美術と美しい建物と食事に興味があり、ローマには4回、フィレンツェには8回、そしてヴェネツィアには10回訪問しています。

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